こんにちは、デンスケです!
令和6年度技術士第二次試験に独学で合格実績のある”デンスケ”が、”最新”の技術士試験の合格ノウハウを伝えたいと思います。
前回は、二次試験(筆記)合格ノウハウ①として、コンピテンシーについて解説させていただきました。今回は、それを踏まえ、問題Ⅰの攻略方法について解説したいと思います。
自分の選んだ技術部門に対し、問題Ⅰは2つ出題されますので、そのうち、1つを選択して回答します。設問は(1)~(4)までありますので、それぞれの設問ごとに解説していきます。なお、専門的学識、コミュニケーションのコンピテンシーについては、全設問で共通して評価対象となっているため、これらを除く、各設問で個別に問われているコンピテンシーについて解説していきます。
設問(1)
<代表的な設問文>
出題トピックについて、技術者の立場で、多面的な観点から3つの技術課題を抽出し、それぞれの観点を明記したうえで、その技術課題の内容を示せ。
<問われるコンピテンシー>
問題解決(課題抽出):業務遂行上直面する複合的な問題に対して,これらの内容を明確にし,必要に応じてデータ・情報技術を活用して定義し,調査し,これらの背景に潜在する問題発生要因や制約要因を抽出し分析すること。
「問題」、「課題」について理解する
設問文において「課題」、コンピテンシーにおいて「問題」という用語が出てきます。技術士試験における各用語の定義を押さえておくことが、合格への近道です。
日本技術士会が、技術士を目指す人向けに発行している修習技術者のための修習ガイドブックでは、「問題解決のステップ例」として以下のように記載されています。
①現状把握:現在の状況を把握する
②問題発見:問題(目標値と現状値のギャップ)の明確化
③問題分析:背景、要因、原因の調査・分析・整理
④課題設定:問題を解決するために為すべき課題を設定
⑤対策立案:課題に対する実施事項の立案、採否・優先順位の決定
⑥実行計画書の作成:実施事項の詳細、スケジュール、実施結果の評価基準
⑦対策実施:実施、結果の確認
⑧評価:結果の効果の評価
このように、あるべき姿と現状のギャップ(があること)が「問題」、問題を解決するためにやるべきことが「課題」ということです。
「多面的な観点」はどう設定したらよいのか
次の設問(2)で問われるコンピテンシー問題解決(方策提起)の中で、「相反する要求事項(必要性,機能性,技術的実現性,安全性,経済性等)」という表現が出てきます。
しかし、設問(1)の回答において、「安全性の観点」、「経済性の観点」というふうに区分するのはNGです。設問(2)以降で、その課題について深堀する際、相反する要求事項についての論述ができなくなってしまうためです。例えば、コストの観点と設定してしまった場合、安い方がいいという話になるだけであって、その他の要求事項(安全性等)との兼ね合いで決めるといった話を展開しにくくなります。
このため、多面的な観点の設定としては、「実施フェーズ」や「役割」で設定するのがよいと思います。ステークホルダーの調整や相反する要求事項についての説明がしやすいような切り口としておくべきです。
なお、技術部門によっては、多面的な観点もしくは着目する用語について、設問の中で指定されている場合があります。技術士試験に限らず、資格試験における一般論ですが、出題者の意図に対して受験生の回答がアンマッチとなっている場合、設問に誘導がつき、望ましい回答に誘導する傾向があります。すなわち、設問で指定されているような観点は模範解答に近いものであるので、よく参考にするべきと思います。
例えば、令和7年度 電気電子部門 Ⅰー1では、以下のように、役割としての観点が設問の中で指定されています。
①ネットワークを構成するという観点
②ネットワークを制御するという観点
③対応策を早期に広域的に社会実装するという観点
設問(1)の回答構成
以上を踏まえ、設問(1)は以下のような回答がよいでしょう。
【役割①の観点】
本来あるべき姿は●●だが、現状は●●だ。(問題)
これは、●●が原因だ。
このため、●●をするべきだ。(課題)
【役割②の観点】
本来あるべき姿は▲▲だが、現状は▲▲だ。(問題)
これは、▲▲が原因だ。
このため、▲▲をするべきだ。(課題)
【役割③の観点】
本来あるべき姿は■■だが、現状は■■だ。(問題)
これは、■■が原因だ。
このため、■■をするべきだ。(課題)
設問(2)
<代表的な設問文>
前問(1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、その理由を述べよ。また、その課題に対する複数の解決策を示せ。
<問われるコンピテンシー>
問題解決(方策提起):複合的な問題に関して,多角的な視点を考慮し,ステークホルダーの意見を取り入れながら,相反する要求事項(必要性,機能性,技術的実現性,安全性,経済性等),それらによって及ぼされる影響の重要度を考慮したうえで,複数の選択肢を提起し,これらを踏まえた解決策を合理的に提案し,又は改善すること。
最も重要と考える課題の選定に当たっては、解決した場合の改善効果が最も大きいとか、他の課題にも波及効果があるとか、重要と判断する理由を簡単に述べましょう。
問題解決のコンピテンシー自体が、「複数の選択肢を提起」であることからも、複数の解決策を上げる必要があります。複数といった場合、2つでは少し少ない感じがするので、3つ挙げるのが理想的と思います。解決策の提示にあたっては、相反する要求事項(必要性,機能性,技術的実現性,安全性,経済性等)やその影響の重要度を考慮したものを挙げられるように検討しましょう。関係者含めて必要な機能や安全性を満足させつつも、リスク評価を行い、重要なリスクは完全に防止、許容できるリスクはPDCAサイクルの中で対応等、複合的な問題(前の記事で解説しています)に対するアプローチを示すことができればよいと思います。
デンスケの場合、設問(2)の解決策3つを先に検討しておき、それらを総括した内容を1つの課題としてまとめ、設問(1)で回答するようにしていました。最も重要な課題に選ばない課題については、具体的な解決策の記載は不要となるため、自分の書きやすいことを書けるように工夫しましょう。
設問(3)
<代表的な設問文>
前問(2)で示したすべての解決策を実行しても残存しうる、もしくは新たに生じうるリスクとそれへの対策について示せ。
<問われるコンピテンシー>
評価:業務遂行上の各段階における結果,最終的に得られる成果やその波及効果を評価し,次段階や別の業務の改善に資すること。
設問(3)は、設問文にバリエーションがあるようなので、よく読んで回答する必要があります。「すべての解決策を実行しても」と書かれている場合は、すべての解決策に関連させて回答が必要となります。また、「残存リスク」なのか「新たに生じうるリスク」なのかも、設問文の書かれ方によって、回答内容が全く異なってきますので、落ち着いて設問文を読みましょう。
設問(4)
<代表的な設問文>
前問(1)~(3)の業務遂行にあたり、技術者としての倫理、社会の持続可能性の観点から必要となる要件・留意点を題意に即して述べよ。
<問われるコンピテンシー>
倫理(社会的認識):業務遂行にあたり,公衆の安全,健康及び福利を最優先に考慮したうえで,社会,文化及び環境に対する影響を予見し,地球環境の保全等,次世代にわたる社会の持続可能な成果の達成を目指し,技術士としての使命,社会的地位及び職責を自覚し,倫理的に行動すること。
以前の記事で紹介した内容と重複しますが、設問(4)で問われる倫理は、「業務履行上,関係法令等の制度が求めている事項を遵守すること」、「業務履行上行う決定に際して,自らの業務及び責任の範囲を明確にし,これらの責任を負うこと」は評価対象外です。この点については、試験部会(第28回) 配付資料のうち、参考7 試験科目別確認項目 に記載されており、現在も変わっていないと思われます。
日本技術士会が、技術士を目指す人向けに発行している「修習技術者のための修習ガイドブック」の参考資料の中に「技術士倫理綱領」の解説がありますので、「1. 技術士は、公衆の安全、健康及び福利を最優先する」、「2.技術士は、地球環境の保全等、将来世代にわたって持続可能な社会の実現に貢献する」の内容について、よく勉強しておきましょう。
工期やコストの制約はあるけれども、公衆の安全が守れる品質は必ず確保する等、公衆を優先するという内容を回答するようにしましょう。また、「題意に即して述べる」というのも最重要ポイントです。設問(1)~(3)の流れとは全く別の回答を書いた場合、得点につながらないおそれがあると思われます。デンスケは、受験1年目、設問(4)については、どんな問題が出ても、事前に用意した回答文(省資源、再生可能な資源を用いる等)を使うというスタンスをとっていましたが、良いアプローチではなかったと反省しています。
その他留意事項
問題Ⅱ、Ⅲが合計69科目の選択科目ごとであるのに対し、問題Ⅰについては合計21部門の技術部門ごとであるため、若干、専門分野が異なる人たちが同じ問題を回答することになります。自分の選択科目に特化した内容を回答する場合、採点者も同じ知識レベルとは限りませんので、専門外の人でもわかる表現とする必要があります。コミュニケーションのコンピテンシーは、全問、共通で問われているわけなので。「包摂的な意思疎通」つまり、だれも取りこぼさないで意思疎通を心掛けましょう。
また、問題文の中で”こういうことを書いても採点対象外にします”といった注記がある場合があります。この点を見落としたり、認識が合わなかったりすると、思わぬところで0点回答となる可能性があるため、要注意です。電気電子部門では、「人事、政策などは含まない」といった指定の実績があります。「多面的な観点」で回答を作成しようとするあまり、採点対象外のことを書いてしまわぬよう十分注意しましょう。
二次試験(筆記)の合否については、必須科目(問題Ⅰ)で得点率60%以上、選択科目(問題Ⅱ、Ⅲ)で得点率60%以上が必要となります。問題Ⅱ、問題Ⅲは、一方で失敗しても、もう一方で挽回することが可能ですが、問題Ⅰについては、失敗した時点で不合格確定です。このため、最重要問題といっても過言ではないと思います。後述しますが、問題Ⅲは、問題Ⅰとほぼ同じような構成の設問で構成されますが、問題Ⅰにのみ倫理に関する設問(4)が出題されます。デンスケの受験1年目は、この設問(4)で得点を稼げるだろうと考え、問題Ⅰが最も回答しやすいと想定していましたが、結果は真逆で問題Ⅰの撃沈により不合格となりました。皆さん、油断禁物です。
