こんにちは、デンスケです!
本記事では、令和6年度技術士第二次試験(電気電子部門)の選択科目「電力・エネルギーシステム」の過去問(設問Ⅱ-1-2/Ⅱ-2-2)で【A判定(得点率60%以上)】を獲得した再現答案を公開します。
試験直後のメモをもとに再構成したもので、内容に不正確な部分が含まれる可能性はありますが、答案構成の考え方や当日の思考プロセスが伝わるようにまとめています。
電気インフラや産業用電気設備に関わる技術業務に10年以上携わってきた経験と、独学で難関資格に挑戦してきた学習ノウハウをもとに、どのように論文を組み立てたのかを解説します。
独学でA判定を目指す方の論文構成の参考にしてください。
Ⅱ―1-2 問題文
架空送電線における雪によって発生する不具合を3つ挙げて、電力輸送面と設備被害面について発生要因と関連して説明し、防止対策について述べよ。
出典:公益社団法人 日本技術士会「技術士第二次試験 電気電子部門 選択科目 電力・エネルギーシステム問題(令和6年度)」
Ⅱ―1-2 再現答案
Ⅱ-1の設問では、技術士に求められるコンピテンシーのうち、「専門的学識(基本知識理解・基本理解レベル)」が厳格に評価されます。
私が本番の試験で心がけたのは、着雪・降雪による影響を単に一括りで片付けるのではなく、過荷重による「電線断線およびそれに伴う地絡リスク」と、ギャロッピングやスリートジャンプといった電線の異常運動が引き起こす「相間短絡リスク」について、それぞれの発生メカニズムと事故形態の違いを明確に区別して記述することです。これにより、電気系統の特性とインフラのリスクを正確に統括・理解していることを採点官にアピールしました。
- 現象ごとのメカニズムの緻密な書き分け
- 荷重による断線(地絡)と、ギャロッピング(風による揚力運動)やスリートジャンプ(雪の脱落による跳ね上がり運動)による相間短絡。これらがそれぞれどのようなプロセスで系統障害を引き起こすのかを、正確な専門用語で文字数内に落とし込むことがA判定の分かれ目になります。
- 「潮流(負荷)」への言及で差をつける
- 答案の最後に一言「送電線の潮流が小さく、電線の放熱が小さいときに発生しやすい」という実務的な知見を添えました。これがあるだけで、教科書的な知識だけでなく「実際のインフラ運用を理解しているエンジニア」としての説得力が劇的に向上します。
1.架空送電線における雪によって発生する不具合
①着雪荷重による断線
湿って重たい雪が電線に着雪すると、雪の重みによって電線が断線するおそれがある。断線すると、電力供給が不可となることに加え、地絡事故に至るおそれがある。
②ギャロッピング
湿った雪が電線に横から吹き付けると、飛行機の羽のように着雪する。風向きが逆になり、強く風が吹くと、よう力により電線が振動し、短絡事故にいたる恐れがある。短絡電流による熱で電線が溶断するおそれもある。
③スリートジャンプ
電線に着雪した雪が溶けて落ちるとき、電線が跳ね上がり短絡事故や断線にいたるおそれがある。
①~③に共通して、送電線の潮流が小さく、電線の放熱が小さいときに発生しやすい傾向がある。
2.対策
上記①~③共通の対策として、より線への着雪メカニズムから、難着雪リングとねじれ防止ダンパを送電線に取り付け、着雪を防止する方法があげられる。①については、着雪荷重を考慮した送電線、鉄塔の強度検討を行うことが挙げられる。③については、上線、中線、下線に水平オフセットを設け、電線が真上に跳ね上がっても短絡に至らない配置にすることが挙げられる。
以上
Ⅱ―2-2 問題文
再生可能エネルギー電源の接続のために短期間でなるべく低廉な費用での系統連系が求められる例が多い。このような中で、送電線の増容量対策工事を進める場合、下記の内容について記述せよ。
(1)送電線の増容量に向けて、調査、検討すべき内容を説明せよ。
(2)業務を進める手順を列挙して、それぞれの項目ごとに留意すべき点、工夫を要する点を述べよ。
(3)業務を効率的、効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。
出典:公益社団法人 日本技術士会「技術士第二次試験 電気電子部門 選択科目 電力・エネルギーシステム問題(令和6年度)」
Ⅱ―2-2 再現答案
1.送電線増容量工事の調査、検討内容
近年の技術士試験(電気電子部門)では、カーボンニュートラルに伴う「再生可能エネルギーの大量導入」と「既存系統の容量不足」がトレンドとなっています。設問Ⅱー2の問(1)では、そうした背景を踏まえた電気技術者としての「専門的学識(業務知識理解・業務理解レベル)」のコンピテンシーが厳格に見られます。私が本番で意識したのは、単に「既設の設備容量を調べる」と書くのではなく、「逆潮流(再エネから系統への流れ)」と「順潮流」の両面から、系統が最も厳しくなる条件を想定して調査するという視点を明記した点です
ただ「調べる」という言葉を並べるのではなく、電気系統運用者としてのリアルな視点を盛り込んだ「具体的な検討項目」を箇条書きで明記することが重要です。これにより、教科書レベルの知識を超えて「明日から実務の計画に活かせるレベルの深い専門的学識」を持っていることを採点官にアピールできます。
(1)送電線潮流の想定
過去の送電線潮流実績や将来の需要、発電動向をもとに、送電線潮流を想定する。潮流の向きは逆潮流、準潮流ともに想定し、厳しい条件を用いる。
(2)送電線スペック検討
送電線の想定潮流をもとに、線種等の検討を行う。別ルートでの送電線建替の他、既設ルートでの建替が考えられる。特に、一部区間だけの増強ですむ場合や鉄塔は建替えず線種のみの変更で済む場合は、コスト、工期麺で有利のため、積極的に既設設備を活用する。
(3)現地施工面
資材搬入経路、作業スペースを十分考慮の上、用地を確保する。近隣住民への影響が考えられる場合、影響低減策を検討の上、事前に理解を得るようにつとめる。既設設備の停止が必要かどうか検討し、必要な場合、系統運用者に停止可能な時期、期間について確認する。
2.業務手順と留意点・工夫点
問(2)では、限られた資源(人・モノ・金・時間)を計画的に配分し、プロジェクトのトレードオフを解消する「マネジメント」のコンピテンシーが問われます。私がこの論文を組み立てる際、最も意識したのは、実務に即した「工程(時間)とコスト(金)、そして施工体制(人)」の3つの要素をバランスよく、かつ具体的に管理するプロセスを提示することでした。机上の空論ではなく、実際の工事計画でエンジニアが直面するリアルな管理項目を網羅することで、採点官に「確かな管理能力」をアピールする戦略を取りました。
手順を記述する際は、「計画・設計」「施工」「運用・保守」の各フェーズにおいて、資源をどう動かすかを具体的に書くのがコツです。私の答案では、「複数見積もりによるコスト(金)の抑制」「施工会社の早期選定・手配(人)」「工程表の共有による手戻り防止と進捗管理(時間)」など、実務で実際に使う管理手法のキーワードを散りばめました。このように、フェーズごとに「何を、どう管理するか(留意点)」をセットで論理的に構成することで、合格水準のマネジメント能力を証明できます。
(1)送電線仕様決定、資材発注、施工委託断面
前項の検討事項を考慮して送電線の仕様を決定する。資材発注、施工委託先の選定にあたっては、複数社に見積もりを取り、性能、コスト、安全性、環境適合性等を比較の上、総合的な判断を下す。
(2)現地施工断面
資材や現地施工のリードタイムを確認し、予め工程表を作成した上で進める。日々、進捗確認を行い、計画通りでない場合は、要因分析の上、工程の見直しを行う。工事完了時は検査体制を整備し、必要要件を満足していることを確認する。
(3)設備運用開始後
初期点検、定期設備点検を行い、不良が見つかった場合はリスク評価を行う。それに基づき、優先順位を定め、限られた予算、マンパワー等を配分し、設備保全を行う。
3.効率的、効果的に進めるための関係者調整方策
問(3)では、利害の異なる関係者間で合意形成を図る「リーダーシップ」のコンピテンシーが評価されます。技術士の採点官は、単に「調整する」という曖昧な表現ではなく、誰と、何を、どう解決したかという「具体的な主導力」を見ています。
論文内では「関係者」という言葉を曖昧にせず、【系統運用者】【官庁】【メーカー】【近隣住民】の4者を明確に指定して書き分けます。その上で、それぞれの立場における利害関係(例:系統運用者とは打合せ議事録を徹底共有して後戻りを防ぐ、住民に対しては交通誘導員を配置して安全を確保するなど)をどう調整したかを具体的に書き、プロジェクトを円滑に進める主導力をアピールしましょう。
①系統運用者:工事に着手する前に、増容量後の送電線必要容量について確認する。打合せの議事録を共有することで認識を合わせ、後戻りのないように進める。
②規制担当官庁:送電線増容量工事にあたり必要となる手続き、リードタイムを確認の上、進める。
③資材メーカー、現地施工業者:リードタイムを確認の上、無理のない工程を立案する。工程表は関係者で共有し、認識を合わせながら進める。
④近隣住民:搬入経路や作業スペースの用地専有や工事車両の通行について事前周知し、十分な理解を得たうえで進める。工事期間中は、交通誘導員を配置するなど、近隣住民への影響を低減するように努める。
以上
おわりに
令和6年度の技術士二次試験(電気電子部門)の再現答案と、デンスケなりの合格アプローチを解説しました。
技術士の論文試験は、単に知識を暗記しているだけでは合格できません。出題者がどの設問で「どのコンピテンシー(専門的学識・マネジメント・リーダーシップなど)」を求めているのかを正確に看破し、それを限られた文字数の中で採点官にアピールする「文章構成の戦略」が不可欠です。
特に、今回ご紹介した「着雪・降雪対策」や「設備形成計画」のようなインフラ実務に直結するテーマでは、教科書的な解答に加えて「現場のリアルな視点」を1行足せるかどうかが、A判定を掴む大きな分かれ目になります。
当ブログでは、デンスケが予備校に通わず「完全独学」で電験1種や技術士を突破した具体的な勉強法や、他の年度の再現答案も惜しみなく公開しています。
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令和5年度 電力・エネルギーシステムⅡ―1―4、Ⅱ―2―1 再現答案(A判定)
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あなたの努力が実を結び、技術士試験に合格されることを心より応援しています。最後までお読みいただき、ありがとうございました!





