こんにちは、デンスケです!
技術士第二次試験の対策を始めると、多くの受験生が次のような「高い壁」にぶつかります。
- 「限られた制限時間内に、あの膨大な回答用紙の文字数を埋められる気がしない……」
- 「試験分野が多岐にわたるため、自分の受験科目に特化した情報が全然見つからない」
- 「記述式の論文の中で、結局、何をどうアピールすればいいのかわからない」
- 「周りと比べて自分には華々しく高度な業務実績がないから、合格できないのではないか?」
手書きで何千文字も論述する二次試験は、一次試験のマークシート方式とは難易度が桁違いであり、独学でのアプローチに不安を感じるのは当然のことです。
実は、デンスケも最初の受験では全く同じ壁にぶつかり、不合格の悔しさを味わいました。しかし、試験の本質を徹底的に分析し、採点基準に合わせた対策に見直した結果、令和6年度の2回目受験でリベンジ合格を果たしています。
その経験から断言できるのは、技術士二次試験の合格に「過去の実績の凄さ」は一切関係ないということです。
試験官が見ているのは、あなたの専門知識の量ではなく、国が公式に定義した技術者に求められる「コンピテンシー」を論文を通じて論理的に証明できているか、ただそれだけです
この記事では、一度の不合格を経て独学で合格を掴み取ったデンスケが、令和8年度最新の試験制度改定の背景や、コンピテンシーの本質をわかりやすく紐解きます。
とはいえ、コンピテンシー(資質能力)という言葉は、抽象的で実態が掴みにくいものです。「大事なのは分かっているけれど、自分の論文のどこに、どうやって落とし込めばいいの?」と頭を抱えてしまうのが本音ではないでしょうか。
なぜ試験官はこれほどまでにコンピテンシーを求めるのか。まずはその評価基準の「裏側(制度の背景)」から正しく理解し、記述のヒントを掴んでいきましょう。
なぜ技術士試験は「コンピテンシー(資質能力)」をここまで重視するのか?
現在の技術士第二次試験において、合否の命運を握る最大の鍵がコンピテンシー(資質能力)です。
論文試験でも口頭試験でも、試験官はあなたの「専門知識の量」ではなく、「コンピテンシーが備わっているか」を厳しくチェックしています。なぜ、これほどまでにコンピテンシーばかりが重視されるのでしょうか?
その理由は、令和元年度に行われた「過去最大級の試験制度改正」にあります。
1. 令和元年度の試験制度改正:知識の暗記から「能力の証明」への転換
かつての技術士試験は、時事ネタや専門用語をどれだけ暗記しているかを競う面が少なからずありました。しかし、令和元年度(2019年度)の試験制度改正により、その中身は180度ガラリと変わりました。
日本技術士会は、試験の目的を「暗記した知識を吐き出す場」から「技術者としての資質能力(コンピテンシー)を備えているかを判定する場」へと明確に定義し直したのです。
そのため、どんなに最先端の技術知識を論文に並べ立てても、国が定めたコンピテンシーの枠組みに沿った記述ができていなければ、一発で「不合格」になってしまうのが現在の試験制度です。
2. 背景にあるのは「国際基準 IEA PC」への適合と合格基準
技術士を取得し、一定の条件を満たすと、以下の国際資格が取得可能となります。
- APECエンジニア
- APEC加盟国(約21ヵ国)において能力が認められる技術者資格
- IPEA国際エンジニア(IntPE)
- IEAに加盟する国や地域で能力が認められる技術者資格
海外ではエンジニア(Professional Engineer)は、医師や弁護士と同等のステータスを持ち、資格の申請には、大学の工学系課程の修了、7年以上の実務経験、2年以上の責任ある立場の経験、継続的な学習実績(CPD)などが審査されます。上記の国際資格を持つことで国家免許(例:米国PE、豪州RPEQ)が自動付与されるものはありませんが審査がスムーズになります。
APECエンジニアは2000年、IPEA国際エンジニアは2007年から申請が可能となりましたが、海外資格と日本の技術士試験の合格基準に差があることが課題となっていました。
そこで、そのギャップを埋めること等を目的に、令和元年度に試験制度の大改正が行われました。実際に、技術士試験制度の見直しについて、文部科学省の審議会の下部組織である試験部会(第27回)配付資料の【資料10】「今後の技術士制度の在り方について(概要)」にて、次のように書かれています。
技術士資格の国際的通用性を確保する観点から、国際エンジニアリング連合(IEA)の「専門職として身に付けるべき知識・能力」(PC)を踏まえ、「技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)」を策定
IEA(International Engineering Alliance)は、エンジニアリング教育認定に関する組織(日本のJABEEも参加)と専門職資格認定に関する組織(日本技術士会も参加)から構成されています。
IEAは教育、専門職に求める水準として、GA&PCをまとめています。GA(Graduate Attributes)は学校で求められるレベル、PC(Professional Competency Profiles)は仕事で求められるレベルであり、両者はリンクしています。
つまり、令和元年度の試験制度改正によって、技術士試験の合格基準は次のようになったといえます。
✍ 技術士試験の合格基準 = IEA PCを満足すること
実際には、IEA PCをベースとして文部科学省にて定義した「8つのコンピテンシー」が技術士試験の絶対的な採点基準になっています。
IEA PCについて更に詳しく知りたい人は
文部科学省にて定義した「8つのコンピテンシー」の定義文については、後ほど詳しく解説していきますが、その元となっているIEAのPCを一度、読んでみるとコンピテンシーの理解が一層深まります。
余力のある方は、第7期 技術士分科会 制度検討特別委員会(第11回)の資料を確認することをおすすめします。これは、令和元年度に実施された試験方法見直しに対する、平成26年時点の検討資料です。当時のGA&PCの原文、和訳、技術士に求められる資質能力の解説あたりが特に参考になります。現在、GA&PCは改訂されたものが存在しますが、コンピテンシーの概要を理解するには、まずは上記リンクを読むのがよいかと思います。
試験官が求める「複合的な問題(エンジニアリング問題)」の正体とは?
「受験申込み案内」を開くと、必須科目(Ⅰ)や選択科目(Ⅲ)の出題内容として、必ず複合的な問題(エンジニアリング問題)という言葉が登場します。この言葉は、問題解決のコンピテンシーの定義文にも登場します。
デンスケは、これらの言葉を初めて目にしたとき、すっと頭に入ってきませんでしたが、皆さんはいかがでしょうか?
二次試験では、問題について掘り下げて論述していくことになるため、この用語のニュアンスがわからないと、試験官の求めているゴールに対して一直線で進んでいくことは不可能です。
複合的な問題(エンジニアリング問題)の正体を一言でいうと、「技術士に求められるコンピテンシーを総動員しなければ解決できない難問」のことです。
この定義を正しく理解するために、まずは国際基準(IEA)が定めている「3つの技術者レベル」の違いから見ていきましょう。
1. 国際基準(IEA)が定める「3つの技術者レベル」の違い
国際エンジニアリング連合(IEA)では、技術に携わる人間をその役割と解決すべき問題の難易度によって、明確に3つのレベルに分類しています。
- テクニシャン(技術専門員)
- 扱う問題:定型的な問題(Well-defined Problems)
- 特徴:マニュアルや既存のルール通りに作業すれば、確実に解決できる定型業務。
- テクノロジスト(上級技術員)
- 扱う問題:広く一般的な問題(Broadly-defined Problems)
- 特徴:やや応用が必要なものの、既存の技術や手順の組み合わせで解決できるレベル。
- エンジニア(最高峰の技術者 = 技術士)
- 扱う問題:複合的な問題(Complex Problems)
- 特徴:前例がなく、様々な要因(コスト、環境、安全、地域住民の利害など)が複雑に絡み合い、単純な技術知識だけでは解決できない難問。
技術士試験とは、あなたが「テクノロジスト」の枠を飛び越えて、最高峰の「エンジニア」として複合的な問題を解決できる人材かどうかを見極める試験なのです。
2. なぜ「すべてのコンピテンシー」を総動員しなければ解けないのか?
複合的な問題は、一人の天才が自分の専門知識(例:土質工学だけ、電気回路だけ)を振りかざすだけでは絶対に解決できません。
例えば、「新しい道路を通したい(技術)」という目的があっても、そこには「限られた予算(コスト)」「絶滅危惧種の保護(環境)」「地権者との交渉(社会・利害関係)」「災害への強さ(安全)」といった、相反する要素(トレードオフ)がドロドロに絡み合っています。
この混沌とした状況を交通整理し、ベストな解決策へと導くために、技術士には専門知識を有することだけではなく以下のプロセス(=能力の総動員)が求められます。
- 相反する要求の中から、真の課題を抽出する(問題解決)
- 多角的な視点からリスクや制限を分析する(評価)
- 異なる立場の関係者と合意形成を図る(コミュニケーション・リーダーシップ)
- 技術者としてのモラルを守り、公益を最優先する(技術者倫理)
このように、複合的な問題という巨大な敵に立ち向かうための武器として用意されているのが、日本技術士会が定義した「8つのコンピテンシー」なのです。
【受験生の勘所】あなたの論文は「定型業務(マニュアル通り)」になっていないかチェック!
多くの受験生が不合格になってしまう最大の原因は、試験官が複合的な問題を出題しているのに対して、自分の論文で「定型的な問題(マニュアル通りの業務)」を書いてしまうからです。
論文を書くときは、「マニュアルにこう書いてあるから、この通りに計算して施工しました」というテクニシャンレベルの記述になっていないか、常にチェックしてください。
「一筋縄ではいかない複合的な問題に対して、いかにコンピテンシーという武器を総動員して立ち向かったか」というエンジニアとしての思考プロセスを見せること。これこそが、合格答案に不可欠な絶対条件です。
「受験申込み案内」から読み解く!資質能力(コンピテンシー)8項目の公式定義と合格留意点
国際基準(IEA)のエンジニアとして、私たちが複合的な問題に立ち向かうための強力な武器。それが、文部科学省が定めている「8つの資質能力(コンピテンシー)」です。
試験に合格するためには、この8つの能力を「受験申込み案内」に書かれている公式定義通りに正しく理解し、論文や口頭試験で表現する必要があります。
なお、令和8年度(2026年度)の試験制度改定(出所:日本技術士会)において、時代に合わせた一部の文言見直し(デジタル技術の活用や、より明確な表現へのブラッシュアップなど)が行われています。
そこでここからは、最新の公式定義(※当サイトで令和8年度の変更点にマーカーを付記)を確認しながら、私が一度不合格を経験し、試行錯誤の末に掴み取った「論文・口頭試験でのリアルな合格留意点」を合わせて1つずつ解説していきます。
試験官に「この受験生はコンピテンシーを完璧に理解している」と思わせるためのデンスケ流の勘所を、ぜひあなたの試験対策に役立ててください。
※以下の定義文はすべて「日本技術士会:令和8年度 技術士第二次試験受験申込み案内」からの引用です。
1. 専門的学識|評価対象は筆記試験の全問題!
- 技術士が専門とする技術分野(技術部門)の業務に必要な,技術部門全般にわたる専門知識及び選択科目に関する専門知識を理解し応用すること。
- 技術士の業務に必要な,我が国固有の法令等の制度及び社会・自然条件等に関する専門知識を理解し応用すること。
💡 デンスケの合格留意点:評価対象は筆記試験の全問題!
この「専門的学識」の1つ目の条項は、 筆記試験のすべての設問(必須科目Ⅰ、選択科目Ⅱ-1、Ⅱ-2、Ⅲ)においてベースとなるコンピテンシーです。 また、2つ目にある「我が国固有の法令や社会・自然条件」は、選択科目Ⅱ-1やⅡ-2(1) の設問で問われます。
単に技術的な知識を暗記するだけでなく、日本の少子高齢化、労働力不足、経済状況、インフラの老朽化、カーボンニュートラルへの取り組みなどを踏まえた、実務的な応用力を論文でアピールすることが得点につながります。
2. 問題解決|【最重要】多角的な視点からトレードオフに注目
- 業務遂行上直面する複合的な問題に対して,これらの内容を明確にし,必要に応じてデータ・情報技術を活用して定義し,調査し,これらの背景に潜在する問題発生要因や制約要因を抽出し分析すること。
- 複合的な問題に関して,多角的な視点を考慮し,ステークホルダーの意見を取り入れながら,相反する要求事項(必要性,機能性,技術的実現性,安全性,経済性等),それらによって及ぼされる影響の重要度を考慮した上で,複数の選択肢を提起し,これらを踏まえた解決策を合理的に提案し,又は改善すること。
💡 デンスケの合格留意点:必須科目Ⅰや設問Ⅲの核心部分! 複合的な問題に注目
問題解決は、主に筆記試験の「Ⅰ(1)」「Ⅲ(1)」 、そして解決策を問う「Ⅰ(2)」「Ⅲ(2)」で厳しく評価されます。 ここで最も意識すべきキーワードは複合的な問題です。単純な問題ではなく、トレードオフが複雑に絡み合う問題をテーマにしましょう。
論文を書く際には 『ただ課題を挙げる』 だけでなく、 背景にあるトレードオフ (例:安全性を上げると経済性が下がる等) を明確化した上で、それをどうやって合理的に解決するか、というプロセスを具体的に論述する必要があります。複数の選択肢 (アプローチ) を提示した上で、最適なものを選択する論法が効果的です。
また、令和8年度の改定で「データ・情報技術の活用」や「多角的な視点」、「ステークホルダーの意見」 が明記されました。 問題解決にあたって、これらのポイントを押さえられると高評価が得られます。
3. マネジメント|単なる計画ではなく「限られた資源の配分」を書く
- 業務の計画・実行・検証・是正(変更)等の過程において,品質,コスト,納期及び生産性とリスク対応に関する要求事項,又は成果物(製品,システム,施設,プロジェクト,サービス等)に係る要求事項の特性(必要性,機能性,技術的実現性,安全性,経済性等)を満たすことを目的として,人員・設備・金銭・情報等の資源を配分すること。
💡 デンスケの合格留意点:定義は「資源を配分すること」!単なる計画ではない
マネジメントの評価対象は、 主に筆記試験「Ⅱ-2(2)」と口頭試験です。受験生が非常によく陥る罠として、単に「予算を確保した」「人員を適切に配置した」とだけ書いてしまうケースが挙げられますが、これでは試験上、高い評価は得られません。
ここでの本質は、制約(リスクやコスト)がある中で「限られた人員・設備・金銭・情報をいかに効率よく配分するか」です。 論文では「必要性が低い工程の資源は薄くし、逆にトラブルが予想される重要工程には厚く資源を投入する」といった、優先順位に基づいた具体的な資源配分の考え方(強弱のつけ方)を明確に記述するようにしましょう。
4. 評価|波及効果と「次の改善(PDCA)」へのアプローチ
- 業務遂行上の各段階における結果,最終的に得られる成果やその波及効果を評価し,次段階や別の業務の改善に資すること。
💡 デンスケの合格留意点:波及効果と次の改善へのアプローチ
評価は、筆記試験の「Ⅰ(3)」「Ⅲ(3)」、および口頭試験で問われます。解決策を提示した後に、 その結果がもたらすメリットだけでなく、新たに生じる「負の波及効果(新たなリスク)」 まで見据えて評価できているかがポイントです。 さらに、評価して終わりではなく、「それを次の段階や別の業務へどうフィードバックし、改善に活かすか(PDCAサイクル)」までをワンセットで論じることで、技術士にふさわしい視点の高さを示せます。
5. コミュニケーション|多様な関係者との「包摂的な協働」とは?
- 業務履行上,情報技術を活用し,口頭や文書等の方法を通じて,雇用者,上司や同僚,クライアントやユーザー等多様な関係者との間で,明確かつ包摂的な意思疎通を図り,協働すること。
- 海外における業務に携わる際は,一定の語学力による業務上必要な意思疎通に加え,現地の社会的文化的多様性を理解し関係者との間で可能な限り協調すること。
💡 デンスケの合格留意点:多様な関係者との「包摂的な」協働
コミュニケーションは筆記試験の全問題、および口頭試験が評価対象です。
令和8年度の改定でマーカー部の通り 「情報技術の活用」 と 「包摂的な(インクルーシブな)」 という言葉が追加されました。 一方的自分の意見を伝えるのではなく、ITツールなども駆使しながら、立場の異なる多様なステークホルダー(発注者、住民、他部門の技術者など)の意見を広く汲み取り、合意形成を図りながら業務を前に進めるスキルが求められています。
6. リーダーシップ|強い主導権ではなく「利害調整」が合格のカギ
- 業務遂行にあたり,明確なデザインと現場感覚を持ち,多様な関係者の利害等を調整し取りまとめることに努めること。
- 海外における業務に携わる際は,多様な価値観や能力を有する現地関係者とともに,プロジェクト等の事業や業務の遂行に努めること。
💡 デンスケの合格留意点:定義は「関係者の利害調整」!オラオラ系はNG
リーダーシップは、筆記試験「Ⅱ-2(3)」 と口頭試験で問われます。 ここで絶対に勘違いしてはならないのは、技術士試験におけるリーダーシップとは 「部下をグイグイ引っ張る」「強いリーダーシップでチームを鼓舞する」といった精神論ではないということです。
試験上の定義はあくまで「利害調整」です。プロジェクトに関わるメンバーや利害関係者間で意見が対立した際、それぞれの言い分を無視するのではなく、複数の解決案を比較検討し、全員が許容できる 「落としどころ (着地点)」を論理的に見つけ出して取りまとめるというアプローチをアピールしましょう。
7. 技術者倫理|何があっても「公衆の安全」を最優先にする
- 業務遂行にあたり,公衆の安全,健康及び福利を最優先に考慮した上で,社会,経済及び環境に対する影響を予見し,地球環境の保全等,次世代にわたる社会の持続可能な成果の達成を目指し,技術士としての使命,社会的地位及び職責を自覚し,倫理的に行動すること。
- 業務履行上,関係法令等の制度が求めている事項を遵守し,文化的価値を尊重すること。
- 業務履行上行う決定に際して,自らの業務及び責任の範囲を明確にし,これらの責任を負うこと。
💡 デンスケの合格留意点:何があっても「公衆の安全」が最優先!マーカー部の持続可能性もカギ
技術者倫理は口頭試験で評価されます。また、根拠は後述しますが、筆記試験の「Ⅰ(4)」 では、1つ目の条項の技術者倫理のみが評価対象となります。
ここで最大の肝となるのは「公衆の安全、健康及び福利を最優先にする」という点です。 例えば、実務において納期やコストの猛烈な制約(プレッシャー)があったとしても、それを理由に品質や安全性を犠牲にすることは絶対に許されません。「これ以上品質を下げると公衆への悪影響や重大事故につながるリスクがあるため、関係者とタフな交渉を行って計画を是正した」といった、倫理的ジレンマに直面した際の正しい行動指針を記述することが求められます。
また、 令和8年度改定でマーカーを引いた「持続可能な成果の達成を目指し」が追加されました。単発の対策ではなく、将来世代にわたるカーボンニュートラルやSDGsの視点を取り入れた論述が今後はより重要となります。
8. 継続研さん|口頭試験を突破するためのCPD計画
- CPD活動を行い,コンピテンシーを維持・向上させ,新しい技術とともに絶えず変化し続ける仕事の性質に適応する能力を高めること。
💡 デンスケの合格留意点:口頭試験専用のコンピテンシー
継続研さんは筆記試験では直接問われず、口頭試験のみでチェックされる項目です。令和8年度の改定で、マーカー部の通り「CPD活動を行い、仕事の性質に適応する能力を高める」という表現に大きくアップデートされました。技術士資格を取得した後も、日々進化する最新の技術トレンドや社会ニーズをキャッチアップし続ける姿勢(具体的なCPDの計画など)を用意しておくことが、最後の口頭試験を突破するカギになります。
【補足】令和8年度の改訂は気にするべき?
上記の引用の通り、令和8年度からコンピテンシーの文言が一部見直され、「情報技術の活用」や「ステークホルダーの意見」などが追加されました。ですが、結論から言うと、試験の本質が激変したわけではありません。時代に合わせて表現をブラッシュアップしただけですので、受験生がやるべきことは「過去からのコンピテンシーの本質を理解し、論文でアピールする」という従来通りの対策です。ボリュームを割いて新しい対策を練る必要はありません。ただし、新設された文言(データ活用、ステークホルダー、包摂的など)は出題者側が意識しているトレンドです。論文のキーワードとして不自然にならない程度に盛り込めるよう、頭の片隅に置いておきましょう。
各設問で問われるコンピテンシーを理解する
技術士二次試験受験申込案内からわかること
「日本技術士会:令和8年度 技術士第二次試験受験申込み案内」では、筆記試験内容は以下の通りとなっています。
Ⅰ 必須科目
「技術部門」全般にわたる専門知識、応用能力、問題解決能力及び課題遂行能力に関するもの
記述式 600字×3枚[ 40点 ]【2問出題 1問選択解答】
【概 念】
専門知識:
専門の技術分野の業務に必要で幅広く適用される原理等に関わる汎用的な専門知識
応用能力:
これまでに習得した知識や経験に基づき、与えられた条件に合わせて、問題や課題を正しく認識し、必要な分析を行い、業務遂行手順や業務上留意すべき点、工夫を要する点等について説明できる能力
問題解決能力及び課題遂行能力:
社会的なニーズや技術の進歩に伴い、社会や技術における様々な状況から、複合的な問題や課題を把握し、社会的利益や技術的優位性などの多様な視点からの調査・分析を経て、問題解決のための課題とその遂行について論理的かつ合理的に説明できる能力
【出題内容】
現代社会が抱えている様々な問題について、「技術部門」全般に関わる基礎的なエンジニアリング問題としての観点から、多面的に課題を抽出して、その解決方法を提示し遂行していくための提案を問う。
【評価項目】
技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)のうち、専門的学識、問題解決、評価、技術者倫理、コミュニケーションの各項目
Ⅱ 選択科目
1.「選択科目」についての専門知識に関するもの
記述式 600字×1枚[ 10点 ]【4問出題 1問選択解答】
【概 念】
「選択科目」における専門の技術分野の業務に必要で幅広く適用される原理等に関わる汎用的な専門知識
【出題内容】
「選択科目」における重要なキーワードや新技術等に対する専門知識を問う。
【評価項目】
技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)のうち、専門的学識、コミュニケーションの各項目
2.「選択科目」についての応用能力に関するもの
記述式 600字×2枚[ 20点 ]【2問出題1問選択解答】
【概 念】
これまでに習得した知識や経験に基づき、与えられた条件に合わせて、問題や課題を正しく認識し、必要な分析を行い、業務遂行手順や業務上留意すべき点、工夫を要する点等について説明できる能力
【出題内容】
「選択科目」に関係する業務に関し、与えられた条件に合わせて、専門知識や実務経験に基づいて業務遂行手順が説明でき、業務上で留意すべき点や工夫を要する点等についての認識があるかどうかを問う。
【評価項目】
技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)のうち、専門的学識、マネジメント、リーダーシップ、コミュニケーションの各項目
Ⅲ 選択科目
「選択科目」についての問題解決能力及び課題遂行能力に関するもの
記述式0 600字×3枚[ 30点 ]【2問出題 1問選択解答】
【概 念】
社会的なニーズや技術の進歩に伴い、社会や技術における様々な状況から、複合的な問題や課題を把握し、社会的利益や技術的優位性などの多様な視点からの調査・分析を経て、問題解決のための課題とその遂行について論理的かつ合理的に説明できる能力
【出題内容】
社会的なニーズや技術の進歩に伴う様々な状況において生じているエンジニアリング問題を対象として、「選択科目」に関わる観点から課題の抽出を行い、多様な視点からの分析によって問題解決のための手法を提示して、その遂行方策について提示できるかを問う。
【評価項目】
技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)のうち、専門的学識、問題解決、評価、コミュニケーションの各項目
ここで、明確に意識してほしいことは、評価項目がコンピテンシーであるということです。『私には専門知識、応用能力、問題解決能力及び課題遂行能力があります』とアピールするのではなく、『私には評価対象となるコンピテンシーがあります』とアピールしなければ得点につながりません。
また、複合的な問題およびエンジニアリング問題という重要キーワードも確認することができます。設問Ⅰ、Ⅲにおいては、トレードオフが複雑に絡み合う問題をテーマにし、各コンピテンシーを行使して立ち向かっていきましょう。
各小問でどのコンピテンシーが問われるのか、頭に叩き込む!
技術士第二次試験の筆記試験は、大きな科目ごとだけでなく、「Ⅰ(1)」「Ⅰ(2)」といった各小問レベルで、評価されるコンピテンシーが1対1で決まっています。
出題者が「この設問ではどの能力を見ようとしているか」を把握しておかなければ、どれだけ綺麗な文章を書いても的外れな解答になり、不合格になります。採点基準がどこにあるか、以下の詳細対応表で完全に頭に叩き込みましょう。
| 試験科目 | 設問 | 重点的に評価されるコンピテンシー | 論文でのアピールポイント |
|---|---|---|---|
| 必須科目 Ⅰ (選択科目 Ⅲも同様) | (1) | ● 問題解決(課題抽出) | 複合的な問題の内容を明確にし、データ・情報技術を活用して背景にある「要因や制約」を抽出・分析する。 |
| (2) | ● 問題解決(方策提起) | 多角的な視点やステークホルダーの意見、相反する要求(トレードオフ)を考慮し、「解決策を合理的に提案」する。 | |
| (3) | ● 評価 | 解決策を講じた後に生じる「波及効果」と「新たなリスク・対策」を評価する。 | |
| (4) ※必須科目Ⅰのみ | ● 技術者倫理(社会的認識) | 「公衆の安全、健康及び福利の最優先」や、「地球環境・持続可能な成果への配慮」を述べる。 | |
| 選択科目 Ⅱ-1 | ー | ● 専門的学識 | 専門知識の正確な定義や、我が国固有の法令・社会条件への応用力をストレートに示す。 |
| 選択科目 Ⅱ-2 | (1) | ● 専門的学識 | 業務を遂行するにあたり、事前に調査・検討すべき事項やその理由を論理的に挙げる。 |
| (2) | ● マネジメント | 業務工程上の様々な制約に対し、人・モノ・金・情報などの資源をどう配分するか手順を示す。 | |
| (3) | ● リーダーシップ | 関係者間で発生する「利害対立や調整事項」をどう取りまとめるかのプロセスを書く。 | |
| 全設問共通 | 全体 | ● 専門的学識 ● コミュニケーション | 技術分野の専門知識を関連させて回答を組み立てる。 「問いに対して正しく答えているか」「読みやすく論理的な章立て(構成)になっているか」。 |
💡 デンスケが教える「勘所」と「落とし穴」
この表を見て「なるほど!」と膝を打った方は、合格に大きく近づいています。中でも注意が必要な勘所と落とし穴について紹介します。
- 「問題解決」の前後分離:定義の1つ目の条項にある『問題を定義し、調査し、要因や制約を抽出・分析する』という能力がそのまま小問(1)の課題抽出で採点されます。 そして、定義の2つ目の条項にある『相反する要求事項を考慮し、複数の選択肢を提起し、解決策を合理的に提案する』という能力がそのまま小問(2)の解決策で採点されます。設問Ⅰおよび設問Ⅲの大部分が問題解決のコンピテンシーを占めますので、回答の型を覚え、確実に得点できるようにしましょう!
- 「技術者倫理」は1つ目の条項だけ:設問Ⅰ(4)で問われる「技術者倫理」の正体、実は1つ目の条項だけだと知っていましたか? 2つ目の法令遵守や3つ目の自己責任は、あとの「口頭試験」で確認されるため、筆記の論文で「法令を遵守します」とアピールしても評価(加点)されません。筆記試験の評価者が求めているのは、あくまで1つ目の条項の「公衆の安全、健康及び福利の最優先」や「地球環境・持続可能な成果への配慮」です。試験部会(第28回)配付資料のうち、参考7 試験科目別確認項目 を見にいかないと気づけない、まさに受験生の盲点です。この基準を正しく把握して、確実に点数がもらえる論文を仕上げましょう!
- 設問Ⅱ-2では脱線に注意:設問Ⅱ-2(1)~(3)は一連の回答となるため、各小問の内容を関連づけて記載できるとコミュニケーションのコンピテンシーとして高評価が得られます。一方で、(1)に対してマネジメントやリーダーシップをアピールしすぎるといったように、採点基準以外のコンピテンシーを記載しても十分な得点につながりませんので、脱線に注意しましょう。
このように、定義文の「どの文が、どの設問に対応しているか」まで解剖して意識すること。これこそが、独学で一発合格答案を書くための最大の秘密です。
💡 デンスケからのアドバイス
各設問でどのコンピテンシーが問われるかの全体像(ルール)は、この表の通りです。
では、このルールを踏まえて「具体的に白紙からどうやって合格論文を組み立てていくのか?」という実践的な記述テクニックについては、以下の別記事で私の実体験を交えて徹底解説しています。あなたの受験する科目に合わせて読み進めてみてください。回答の型を覚えてしまえば、「回答用紙を埋められない……」といった悩みは自然と消え去ります。
- 👉 【設問Ⅰ・Ⅲ対策】複合的な問題を攻略する論文作成の極意
- 👉 【設問Ⅱ対策】コンピテンシーをアピールする記述ステップ
まとめ:コンピテンシーの本質を理解したあなたへ
今回は、技術士第二次試験における「コンピテンシー(資質能力)」の重要性と、試験官が求める「複合的な問題」の正体、そして各項目の合格留意点について詳しく解説してきました。
長年勉強しているのに論文が通らない受験生の大半は、知識が足りないのではなく、「コンピテンシーという採点基準の存在」を無視してしまっていることにあります。
しかし、この記事を最後まで読んだあなたは、もう「ただの知識の丸暗記」という間違った努力のループからは抜け出せているはずです。
- 試験官は、国際基準(IEA)を満たしたエンジニアを求めている
- 論文では、トレードオフだらけの「複合的な問題」に立ち向かう姿勢を見せる
- 8つのコンピテンシーは、その難問を解くための「武器」である
この3つの本質を頭に叩き込んでおくだけで、これからあなたが書く論文の説得力は、不合格だった過去の私のものとは比べ物にならないほど高くなります。
💡 次のステップ:あなたの論文を「技術士仕様」に変えよう
コンピテンシーの本質が理解できたら、次はいよいよ実践です。合格をより確実にするために、以下のステップで対策を進めていきましょう。
1️⃣ 設問ごとの論文作成ノウハウ
「回答用紙が埋まらない…」という悩みは、合格の型(フレームワーク)を知るだけで一瞬で解決します。まずは具体的な記述テクニックをマスターしましょう。
👉 【設問Ⅰ・Ⅲ対策】複合的な問題を攻略する論文作成の極意
👉 【設問Ⅱ対策】コンピテンシーをアピールする記述ステップ
2️⃣ 過去問の再現答案(A判定)
ノウハウを学んだら、実際の合格者がどのようにコンピテンシーを論文に落とし込んだのか、「生データ」を見てイメージを膨らませるのが最短ルートです。
👉 【令和6年度】必須科目ⅠのA判定再現答案
👉 【令和6年度】選択科目ⅡのA判定再現答案
👉 【令和5年度】選択科目ⅢのA判定再現答案
3️⃣ モチベーションを高める「技術士のメリット」
「勉強が辛い、挫折しそう…」と感じたときは、合格した先にある圧倒的なリターンを思い出してください。サラリーマンが技術士を取得すべき本当の理由を本音で語っています。
👉 【年収・転職】サラリーマンが技術士を取得するリアルなメリット
4️⃣ 独学で一発合格を掴む「勉強法」
限られた時間の中で働きながら合格するには、無駄な勉強を一切排除した「正しい戦略」が不可欠です。私がリベンジ合格を果たしたスケジュールと勉強のコツを公開します。
👉 【仕事と両立】働きながら独学で合格するための技術士勉強法
試験勉強を進めるうちに視野が狭くなってくるときが必ず来ると思います。そんなときは、原点に立ち返り、評価基準は「コンピテンシーが全て」であることを思い出してください。あなたの努力が正しい方向へ進み、技術士の栄冠を掴む日を心から応援しています!









