こんにちは、デンスケです!
令和6年度技術士第二次試験に独学で合格実績のある”デンスケ”が、”最新”の技術士試験の合格ノウハウを伝えたいと思います。
技術士試験は、第一次試験→第二次試験(筆記)→第二次試験(口頭試験)の3ステップです。
第一次試験は一般的な資格試験と同様、マークシート方式です。採点基準が明確であり、参考書(過去問の解説が主体)も取り扱いが多いため、技術士試験について調べ始めたとき、努力次第で合格は可能と感じました。
一方で、第二次試験(筆記)になると、以下の理由から独学で合格するのは難しいと感じました。
- 記述式のため、採点基準が明確でない
- 技術分野が多岐にわたり(大分類で21部門※、小分類で69科目)、自分の受験する科目に特化した情報が得にくい ※総合技術監理部門のみ、他の技術部門とは別物。
- 上記2から参考書は一般的な攻略法が書かれたものに絞られる上、上記1からその参考書に書いてあることが妥当なのか、どの参考書を選べばいいのか判断が難しい(特に令和元年度から試験制度が大幅に変更になっているため、変更に対応していないテキストを選ぶのは絶対NGです!)
デンスケが苦労したポイントを踏まえ、今回は、第二次試験(筆記)に挑む前の基礎知識について書いていきます!
コンピテンシーとは何かを理解する
competency(コンピテンシー)を直訳すると、”資格”、”能力”です。
「技術士第二次試験受験申込み案内」等では、「技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)」を以下の通り定めており、各問題でそれらを評価項目とすることが書かれております。デンスケからの留意点をℹ️マークで示しています。
なお、令和8年度の試験から、コンピテンシーが若干、見直されており、その点をアンダーラインで示しています。時代に合わせ、情報技術の活用が明文化された以外は、これまでの試験内容に合わせてコンピテンシーの表現を直したような感触のため、あまり大きく変わった感じはしません。ただし、変わった部分については、出題者側が意識している点なので、「多角的な視点」、「ステークホルダー」、「包摂的」、「持続可能な成果の達成」等、求められている能力を再認識するのには、いいヒントなのかと思います。
- 専門的学識
- 技術士が専門とする技術分野(技術部門)の業務に必要な,技術部門全般にわたる専門知識及び選択科目に関する専門知識を理解し応用すること。
- 技術士の業務に必要な,我が国固有の法令等の制度及び社会・自然条件等に関する専門知識を理解し応用すること。
- 問題解決
- 業務遂行上直面する複合的な問題に対して,これらの内容を明確にし,必要に応じてデータ・情報技術を活用して定義し,調査し,これらの背景に潜在する問題発生要因や制約要因を抽出し分析すること。
- 評価対象:筆記試験「Ⅰ(1)」、「Ⅲ設問(1)」
- 「複合的な問題(後述します)」を意識することが大切
- 複合的な問題に関して,多角的な視点を考慮し,ステークホルダーの意見を取り入れながら,相反する要求事項(必要性,機能性,技術的実現性,安全性,経済性等),それらによって及ぼされる影響の重要度を考慮したうえで,複数の選択肢を提起し,これらを踏まえた解決策を合理的に提案し,又は改善すること。
- 評価対象:筆記試験「Ⅰ(2)」、「Ⅲ(2)」
- 「複合的な問題(後述します)」を意識することが大切
- マネジメント
- 業務の計画・実行・検証・是正(変更)等の過程において,品質,コスト,納期及び生産性とリスク対応に関する要求事項,又は成果物(製品,システム,施設,プロジェクト,サービス等)に係る要求事項の特性(必要性,機能性,技術的実現性,安全性,経済性等)を満たすことを目的として,人員・設備・金銭・情報等の資源を配分すること。
- 評価
- 業務遂行上の各段階における結果,最終的に得られる成果やその波及効果を評価し,次段階や別の業務の改善に資すること。
- コミュニケーション
- 業務履行上,情報技術を活用し,口頭や文書等の方法を通じて,雇用者,上司や同僚,クライアントやユーザー等多様な関係者との間で,明確かつ包摂的な意思疎通をを図り,協働すること。
- 海外における業務に携わる際は,一定の語学力による業務上必要な意思疎通に加え,現地の社会的文化的多様性を理解し関係者との間で可能な限り協調すること。
- リーダーシップ
- 業務遂行にあたり,明確なデザインと現場感覚を持ち,多様な関係者の利害等を調整し取りまとめることに努めること。
- 海外における業務に携わる際は,多様な価値観や能力を有する現地関係者とともに,プロジェクト等の事業や業務の遂行に努めること。
- 技術者倫理
- 業務遂行にあたり,公衆の安全,健康及び福利を最優先に考慮したうえで,社会,文化及び環境に対する影響を予見し,地球環境の保全等,次世代にわたる社会の持続可能な成果の達成を目指し,技術士としての使命,社会的地位及び職責を自覚し,倫理的に行動すること。
- 業務履行上,関係法令等の制度が求めている事項を遵守し,文化的価値を尊重すること。
- 業務履行上行う決定に際して,自らの業務及び責任の範囲を明確にし,これらの責任を負うこと。
- 継続研さん
- CPD活動を行い,コンピテンシーを維持・向上させ,新しい技術とともに絶えず変化し続ける仕事の性質に適応する能力を高めること。
各問題で問われるコンピテンシーを理解する
「令和7年度 技術士第二次試験受験申込み案内」では、筆記試験内容は以下の通りとなっています。令和8年度版については、現時点で公表されていませんが、同様の内容になると想定されます。
Ⅰ 必須科目
「技術部門」全般にわたる専門知識、応用能力、問題解決能力及び課題遂行能力に関するもの
記述式 600字×3枚[ 40点 ]【2問出題 1問選択解答】
【概 念】
専門知識:
専門の技術分野の業務に必要で幅広く適用される原理等に関わる汎用的な専門知識
応用能力:
これまでに習得した知識や経験に基づき、与えられた条件に合わせて、問題や課題を正しく認識し、必要な分析を行い、業務遂行手順や業務上留意すべき点、工夫を要する点等について説明できる能力
問題解決能力及び課題遂行能力:
社会的なニーズや技術の進歩に伴い、社会や技術における様々な状況から、複合的な問題や課題を把握し、社会的利益や技術的優位性などの多様な視点からの調査・分析を経て、問題解決のための課題とその遂行について論理的かつ合理的に説明できる能力
【出題内容】
現代社会が抱えている様々な問題について、「技術部門」全般に関わる基礎的なエンジニアリング問題としての観点から、多面的に課題を抽出して、その解決方法を提示し遂行していくための提案を問う。
【評価項目】
技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)のうち、専門的学識、問題解決、評価、技術者倫理、コミュニケーションの各項目
Ⅱ 選択科目
1.「選択科目」についての専門知識に関するもの
記述式 600字×1枚[ 10点 ]【4問出題 1問選択解答】
【概 念】
「選択科目」における専門の技術分野の業務に必要で幅広く適用される原理等に関わる汎用的な専門知識
【出題内容】
「選択科目」における重要なキーワードや新技術等に対する専門知識を問う。
【評価項目】
技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)のうち、専門的学識、コミュニケーションの各項目
2.「選択科目」についての応用能力に関するもの
記述式 600字×2枚[ 20点 ]【2問出題1問選択解答】
【概 念】
これまでに習得した知識や経験に基づき、与えられた条件に合わせて、問題や課題を正しく認識し、必要な分析を行い、業務遂行手順や業務上留意すべき点、工夫を要する点等について説明できる能力
【出題内容】
「選択科目」に関係する業務に関し、与えられた条件に合わせて、専門知識や実務経験に基づいて業務遂行手順が説明でき、業務上で留意すべき点や工夫を要する点等についての認識があるかどうかを問う。
【評価項目】
技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)のうち、専門的学識、マネジメント、リーダーシップ、コミュニケーションの各項目
Ⅲ 選択科目
「選択科目」についての問題解決能力及び課題遂行能力に関するもの
記述式0 600字×3枚[ 30点 ]【2問出題 1問選択解答】
【概 念】
社会的なニーズや技術の進歩に伴い、社会や技術における様々な状況から、複合的な問題や課題を把握し、社会的利益や技術的優位性などの多様な視点からの調査・分析を経て、問題解決のための課題とその遂行について論理的かつ合理的に説明できる能力
【出題内容】
社会的なニーズや技術の進歩に伴う様々な状況において生じているエンジニアリング問題を対象として、「選択科目」に関わる観点から課題の抽出を行い、多様な視点からの分析によって問題解決のための手法を提示して、その遂行方策について提示できるかを問う。
【評価項目】
技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)のうち、専門的学識、問題解決、評価、コミュニケーションの各項目
ここで、明確に意識してほしいことは、評価項目がコンピテンシーであるということです。『私には専門知識、応用能力、問題解決能力及び課題遂行能力があります』とアピールするのではなく、『私には評価対象となるコンピテンシーがあります』とアピールしなければ得点につながりません。後述する通り、技術士試験は令和元年度に大きく変更されており、『専門知識、応用能力、問題解決能力及び課題遂行能力』の表現は過去からの流れを尊重した表現、『コンピテンシー』の表現は見直し後の評価項目を反映した表現だと、デンスケ的には認識しています。なので、前者については、あまり意識しすぎない方がいいと思っています。
加えて、受験案内では大問(Ⅰ、Ⅱ-1、Ⅱ-2、Ⅲ)ごとに問われるコンピテンシーまでしか記載されていませんが、例年の設問を見ると、各設問で問われるコンピテンシーは以下と解釈できます。この点を意識しておくことも非常に重要です。
Ⅰ(1):専門的学識(基本知識理解)、問題解決(課題抽出)、コミュニケーション
Ⅰ(2):専門的学識(基本知識理解)、問題解決(方策提起)、コミュニケーション
Ⅰ(3):専門的学識(基本知識理解)、評価、コミュニケーション
Ⅰ(4):専門的学識(基本知識理解)、倫理(社会的認識)、コミュニケーション
Ⅱ-1:専門的学識(基本知識理解・基本理解レベル)、コミュニケーション
Ⅱ-2(1):専門的学識(業務知識理解・業務理解レベル)、コミュニケーション
Ⅱ-2(2):専門的学識(業務知識理解)、マネジメント、コミュニケーション
Ⅱ-2(3):専門的学識(業務知識理解)、関係者調整、コミュニケーション
Ⅲ(1):専門的学識(基本知識理解)、問題解決(課題抽出)、コミュニケーション
Ⅲ(2):専門的学識(基本知識理解)、問題解決(方策提起)、コミュニケーション
Ⅲ(3):専門的学識(基本知識理解)、評価、コミュニケーション
また、特に留意してほしいのは、Ⅰ(4)で問われる倫理は、「業務履行上,関係法令等の制度が求めている事項を遵守すること」、「業務履行上行う決定に際して,自らの業務及び責任の範囲を明確にし,これらの責任を負うこと」は評価対象外だということです。この点については、試験部会(第28回) 配付資料のうち、参考7 試験科目別確認項目 に記載されており、現在も変わっていないと思われます。
複合的な問題(エンジニアリング問題)とは何かを理解する
「問題解決」のコンピテンシー説明文や「受験申込み案内」の試験科目の説明文において、「複合的な問題」、「エンジニアリング問題」という用語が出てきます。デンスケは、これらの言葉を初めて目にしたとき、すっと頭に入ってきませんでしたが、皆さんはいかがでしょうか? 二次試験では、”問題”について掘り下げて論述していくことになるため、この用語のニュアンスを把握しておくことは非常に重要だと思います。
複合的な問題、エンジニアリング問題について紐解くには、令和元年度(平成31年度)の試験方法見直し内容を理解するのが一番です! 試験部会(第27回) 配付資料の【資料10】「今後の技術士制度の在り方について(概要)」にて、技術士制度の見直しに関する考え方が記載されています。試験制度の見直し目標の1つが、技術士資格が国際的に通用する資格となることであり、評価基準も国際ルールに合わせることに見直しています! 当該資料に以下の表現があります。
技術士資格の国際的通用性を確保する観点から、国際エンジニアリング連合(IEA)の「専門職として身に付けるべき知識・能力」(PC)を踏まえ、「技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)」を策定
デンスケの独断と偏見で(正確性は犠牲にして…)、解説させていただきます。
IEA(International Engineering Alliance)は、エンジニアリング教育認定に関する組織(日本のJABEEも参加)と専門職資格認定に関する組織(日本技術士会も参加)から構成されています。
IEAは教育、専門職に求める水準として、GA&PCをまとめています。GA(Graduate Attributes)は学校で求められるレベル、PC(Professional Competency Profiles)は仕事で求められるレベルであり、両者はリンクしています。
GA&PCでは、以下の通り3つのレベルに分けています。
- テクニシャン:標準化されたことに取り組む(Well-defined Problemsを解決)/工業高校卒業レベル
- テクノロジスト:基本知識を理解し応用する(Broadly-defined Problemsを解決)/高専卒業レベル
- エンジニア:Complex Problems(複合的な問題)を解決する/大学卒業レベル
技術士として求められているのは、3番目のエンジニアレベルです。
技術士試験用語の「エンジニアリング問題」とは上記の「エンジニア」が取り組む問題のことですから、切り口が違うだけで、「複合的な問題」と同じことを指しているとデンスケは認識しました。
それはどんな問題なのかというと、上記のレベル1,レベル2よりも難しいレベルということなので、逆説的には、標準的なやり方では解決できず、基本知識の応用程度でも解決できないような、難解な問題ということになります。
結局のところ、「複合的な問題」≒「エンジニアリング問題」≒『コンピテンシーを全て駆使しないと解決できない問題』と言ってしまっていいと思います。エンジニア(技術士)には、コンピテンシーが必要なわけですから。
具体的に言うと、専門知識だけあれば解決できる問題だとか、利害関係者調整だけやっていれば済むような問題は「複合的な問題(エンジニアリング問題)」には該当しません。 専門知識、問題の要因分析、リソースの配分、PDCA、効果的な意思疎通、利害関係者調整、技術者倫理などが1つでもかけていると解決できないような問題こそが「複合的な問題(エンジニアリング問題)」ということです。
デンスケの偏見を含まない、正確な情報を確認したい方には、第7期 技術士分科会 制度検討特別委員会(第11回)の資料を確認することをおすすめします。これは、令和元年度(平成31年度)に実施された試験方法見直しに対する、平成26年時点の検討資料です。当時のGA&PCの原文、和訳、技術士に求められる資質能力の解説あたりが特に参考になります。現在、GA&PCは改訂されたものが存在しますが、コンピテンシーの概要を理解するには、まずは上記リンクを読むのがよいかと思います。
結論
技術士試験ではコンピテンシーを理解し、アピールすること。
長々と書いたわりに、至極、変哲のない結論となってしまい、恐縮です。
そうはいっても、何事も基本が大切だと思いますので、この点を押さえて、技術士試験に取り組んでいくのがおすすめです。
デンスケも、やっていくうちに視野が狭くなることもありましたので、そんなときは原点に立ち返ってみてはいかがでしょうか。
今回は以上です。技術士試験に興味を持たれた方が、一歩踏み出す助けになれば幸いです。
