こんにちは、デンスケです!
本記事では、令和5年度技術士第二次試験(電気電子部門)の選択科目「電力・エネルギーシステム」の過去問(設問Ⅱ-1-4/Ⅱ-2-1)でA判定(得点率60%以上)を獲得した再現答案を公開します。
単なる解答例だけでなく、限られた試験時間内で「どう戦略を立て、どう論文に落とし込んだか」という思考プロセスまで、現場のコア業務経験と独学ノウハウを交えて解説します。
今回は、「配電系統における電圧制御方法」および「離島を対象としたマイクログリッド建設工事の計画と調整方策」という、電気・エネルギー系統の運用管理やインフラ設備の形成計画に直結する重要テーマを取り上げます。実務での確かな視点と、技術士に求められるコンピテンシーがどのように答案に結びつくのかを詳しく紐解いていきましょう。
「過去問の活かし方が分からない」「独学でA判定を目指したい」という方は、ぜひ合格の軌跡を参考にしてください。
【設問 Ⅱ―1―4】配電系統の電圧制御:問題文と再現答案
設問 Ⅱ―1―4 の問題文(引用)
電気使用場所での電圧を一定に保つ目的で、配電系統における電圧を制御する方法を3つ挙げ、それぞれの内容を述べよ。
出典:公益社団法人 日本技術士会「技術士第二次試験 電気電子部門 選択科目 電力・エネルギーシステム問題(令和5年度)」
A判定再現答案と解説
技術士試験の設問Ⅱ-1では、基礎的な「専門的学識(業務知識理解・業務理解レベル)」がストレートに問われます。私は本番中、単に機器の名前を並べるだけでは知識の深さがアピールできないと判断しました。電気使用場所での電圧を適正範囲に保つための「異なるアプローチの技術」を、日本の重要インフラを支える電気技術者としての客観的な視点で3つ整理するため、「変圧器のタップ制御」「調相設備による無効電力調整」「線路途中の設備(SVR)」という、制御対象と設置場所が明確に異なる3つの軸を瞬時に選択し、知識の幅広さと応用力を出題者に示す戦略を取りました。
記述の際は、高圧・特高電気設備の保護制御システム構築などの実務でも基本となる専門用語を正確に使い、文字数がタイトなⅡ-1の枠内で簡潔にまとめました。1つ目のタップ制御ではLDC方式などの具体的な制御モードに触れ、2つ目の調相設備では高速応答が可能なSVCを明記し、3つ目のSVRでは亘長が長い線路における末端電圧維持という設置目的を明確に記述しました。このように、技術ごとの特性と適用すべきシチュエーションを対比させてナンバリング(1. 2. 3.)で明示することで、採点官へ「専門的学識」が確実に伝わる構成に落とし込んでいます。
1.配電用変圧器のタップ制御による送出電圧調整
配電用変圧器のタップ制御により、配電用変電所の送り出し電圧を目標値に調整する。予め設定した一日の目標電圧に制御するプログラマブルコントロール方式がある。この他、配電線電流を元に、電圧降下量を算出し、送り出し電圧を補正するLDC方式もある。
2.調相設備による無効電力調整
電気使用場所に分路リアクトルや電力用コンデンサなどの調相設備を設置し、無効電力を制御することで電圧調整を行う。無効電力調整時の電圧変動緩和のため、タップを持つものもある。電気炉等、無効電力変動が大きい電気使用場所の場合、無効電力変動を瞬時に検出し、無効電力補償を高速に行うSVCが電圧を一定にする上で有効となる。
3.SVR
亘長が長い配電線路においては配電用変電所から末端の需要家までの電圧降下量が大きく、送り出し電圧の調整だけでは適切な電圧を維持できない。この対策として、配電線路途中にSVRを設け、変圧器タップにより電圧調整を行う。
以上
【設問 Ⅱ―2―1】離島マイクログリッド建設:問題文と再現答案
設問 Ⅱ―2―1 の問題文(引用)
脱炭素化を目的とし、国内における離島を対象としたマイクログリッド(小規模独立型電力供給システム)の建設を行うこととなった。あなたがこの業務を責任者として進めるに当たり、下記の内容について説明せよ。
(1)当該マイクログリッドの建設工事を進めるに当たり、調査、検討すべきポイントとその内容を説明せよ。
(2)業務を進める手順を列挙して、それぞれの項目ごとに留意すべき点、工夫を要する点を述べよ。
(3)業務を効率的、効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。
出典:公益社団法人 日本技術士会「技術士第二次試験 電気電子部門 選択科目 電力・エネルギーシステム問題(令和5年度)」
A判定再現答案と設問ごとの解説
1.マイクログリッド建設工事の調査、検討ポイント
実務記述問題である設問Ⅱ-2の問(1)では、「専門的学識(業務知識理解・業務理解レベル)」のコンピテンシーが求められます。独立型電力供給システムを構築するにあたり、現地の制約条件や技術的な課題を多角的に抽出・分析できる能力を示す必要があります。私は頭の中で、離島という限定された環境特有の制約(再エネの出力変動や、施工スペースの限界など)を想定しました。出題者の意図を裏読みし、単に一般的な設備仕様を並べるのではなく、「需給バランスの維持」と「現地の施工環境」の双方の視点から、本当に必要なデータを過不足なく洗い出す戦略を立てました。
実際の答案では、技術的な説得力を持たせるためにキーワードを具体化しました。需要側の「負荷特性の把握」や供給側の「ガバナ機能」といった需給制御に関する仕様検討の必要性を説きつつ、現地調査として「施工スペースの確保」や「周辺環境への影響(振動・騒音)」といったインフラエンジニアとしての実務視点に基づく項目を明記しています。これらを大項目で整理し、採点官が瞬時に専門的学識の高さを評価できるように記述しました。
(1)負荷特性の把握
独立型電力供給システムを実現する上で、需給調整を適切に行うため、負荷特性を把握することが必要である。季節ごと、時間帯ごとの最大、最小、平均電力の把握や電力の変化速度等を把握する必要がある。
(2)発電設備の仕様
独立型電力供給システムを実現する上で、再エネを有効活用することは重要であるが、適切な供給力、調整力をしっかりと確保する必要がある。発電方式、発電容量、ガバナ機能、出力変化速度等の仕様について検討する必要がある。
(3)現地施工
付帯設備を含む発電設備の大きさ、作業スペース、搬入経路、電力系統との接続などを考慮の上、発電設備の設置場所を検討する。振動や騒音などの影響が考えられる場合、周辺環境への影響にも留意する。
2.業務手順と留意点、工夫点
続く設問Ⅱ-2の問(2)では、「マネジメント」のコンピテンシーが問われます。プロジェクトの各段階におけるリスクを予期し、人員・資源・工程を最適に配分・管理する資質を見せるパートです。私は頭の中で、限られた工期の中で手戻りを防ぐための「転換点(マイルストーン)」を意識しました。単なる工事プロセスの羅列に終始せず、計画・実行・評価という業務のライフサイクルの中で、どこでどのような創意工夫や見直しを行うべきか、管理責任者としての視点から手順を組み立てる戦略をとりました。
業務のストリームが一目で伝わるように「仕様決定・発注」「現地施工」「運転開始後(評価・保全)」の3断面に分けて時系列に整理しました。それぞれのステップにおいて、ただ作業内容を書くのではなく、「総合的な評価による取引先選定」や「進捗遅れ時の要因分析と計画見直し」、さらには「運用開始後の評価に基づく保全計画の見直し」など、マネジメントの要素(要求品質・工程・コスト・リスク管理)を必ず文章の結びに含めています。これにより、ただの作業員ではなくプロジェクトを統括する立場としての記述に落とし込みました。
(1)仕様決定、発注断面
前項の検討結果をもとに、発電設備の仕様を決定する。当該仕様を用いて複数社に見積もりを取り、性能、コスト、納期、安全性、環境適合性等、総合的な評価を行い、取引先を選定する。
(2)現地施工断面
機器納入や現地施工のリードタイムを確認し、予め施工計画を立てた上で工事を進める。日々、進捗確認を行い、計画どおりに進んでいない場合は、要因を分析の上、計画の見直しを行う。また、工事完了時の検査体制を整備し、必要要件が満足されていることをしっかりと確認する。
(3)運転開始後
脱炭素化の目的に対し、事前に想定した運用ができているか評価し、できていない場合は運用方法の見直しを検討する。また、定期的に設備点検を行い、不良があった場合はリスク評価の上、予防保全、事後保全などの対応を検討する。
3.効率的、効果的に進めるための関係者調整方策
最後の設問Ⅱ-2の問(3)で問われるのは、「リーダーシップ」のコンピテンシーです。多様なステークホルダー(利害関係者)の間で生じる利害の対立を解消し、プロジェクトを円滑に推進する調整能力が厳しくチェックされます。私は、離島での大規模工事において「誰が, どのような懸念(納期、騒音、手続きなど)を持つか」をリアルに想定しました。それぞれの関係者に対して、インフラエンジニアとしての責任を持って主導的に調整へ動くスタンス(コミュニケーションの基盤の上にあるリーダーシップ)を示す戦略を立てました。
答案では、調整相手を「クライアント」、「規制担当官庁」、「機器納入・現地施工業者」、「近隣住民」の4グループに明確に分離して列挙しました。それぞれに対し、ニーズの早期確認による「後戻り防止(議事録共有)」、手続きの「リードタイム確認」、工程表の共有による「認識合わせ」、事前の「周知徹底と交通誘導員の配置」など、双方向の意思疎通をベースにしつつ、利害を一致させてチームを引っ張る具体的なアプローチを個別に対比させて記述し、原稿用紙へ構造的に落とし込みました。
①クライアント:初期段階でクライアントのニーズ、方向性を確認し、議事録などで共有することで、後戻りなく進める。
②規制担当官庁:必要な手続き、リードタイムを確認の上、計画的に進める。
③機器納入・現地施工業者:機器納入、現地施工のリードタイムを確認し、無理のない工程を立てる。工程表は関係者で共有し、認識を合わせた上で進める。
④近隣住民:工事車両の通行など、事前に周知し、理解を得た上で進める。工事期間中は交通誘導員を配置するなど、近隣住民への影響を最小化するよう努める。
以上
おわりに
令和5年度の技術士二次試験(電気電子部門)の再現答案と、デンスケなりの合格アプローチを解説しました。
技術士の論文試験は、単に知識を暗記しているだけでは合格できません。出題者がどの設問で「どのコンピテンシー(専門的学識・マネジメント・リーダーシップなど)」を求めているのかを正確に看破し、それを限られた文字数の中で採点官にアピールする「文章構成の戦略」が不可欠です。
特に、今回ご紹介した「着雪・降雪対策」や「設備形成計画」のようなインフラ実務に直結するテーマでは、教科書的な解答に加えて「現場のリアルな視点」を1行足せるかどうかが、A判定を掴む大きな分かれ目になります。
当ブログでは、デンスケが予備校に通わず「完全独学」で電験1種や技術士を突破した具体的な勉強法や、他の年度の再現答案も惜しみなく公開しています。
「働きながら最短で技術士に合格したい!」という方は、ぜひ以下の対策記事もあわせて参考にしてみてください。
【必読】技術士試験の根幹「コンピテンシー」をマスターする
試験で最も重要な「コンピテンシー」の本質を解説。独学合格を果たしたエッセンスが詰まった、全受験生必須のベース知識です↓
設問Ⅱの回答スタンス
設問Ⅱで問われるコンピテンシーを明示し、論理的に回答を展開するためのノウハウについて解説しています↓
令和6年度 電力・エネルギーシステムⅡ―1―2、Ⅱ―2―2 再現答案(A判定)
今回の令和5年度の再現答案と同様、令和6年度の再現答案について、アプローチポイントを含めて解説しています↓
あなたの努力が実を結び、技術士試験に合格されることを心より応援しています。最後までお読みいただき、ありがとうございました!





